本を置く場所がない

俺の家には本がある。300冊くらいだろうか、少なくも多くもないくらい。だから置く場所に困っている。置き場所に困るなら電子書籍にしたり図書館で借りればいいのに、実物の紙の本を買ってしまう。読み返す本なんてほとんどないのに、本棚に並べてしまう。もう読まないなら、売るなり捨てるなりすればいいのに、本棚に挿しっぱなしになっている。解決法とか整理術とかの前に、なんで本を買ってきて棚に保管するようなことをするのか、そもそものところを考えた。

本なんて買わなくていいのでは

本って生活に必要だろうか。情報とか娯楽ならテレビとかラジオでタダだし、スマホがあればYouTubeとかTiktokでいくらでも暇はつぶせる。音も映像もない文字だけの本から得られる情報量なんてスッカスカ。勉強だって、大学の講座がYouTubeで無料公開されてたりするし。

それでも俺は本を買うんだな。なんでだろう。

まず、本屋が好き。本ってスペースとるからぎっしり売り場に詰まっているでしょう。書いた人らの力がこもったコンテンツがアホほど並んでる。実際は、Amazonの果てしないラインナップに比べるとごくわずかの品揃えなんだろうけど、実物が並んでるってだけで、宝の山っぽさがすごい(そういう意味でレンタルビデオ屋も好きだった)。

それに本屋って静かだよね。飲食店とかと違ってくつろいでしゃべるような空間じゃないし、お客さんはほどよく集中して物色してる。厳かな感じっていうんだろうか。めっちゃ落ち着くのよ。で、まぁ自分も本を眺めてビビッとくるものに出合うわな。あの楽しさってなんだろう。ネットでのコンテンツとの出合い方とあきらかに違うんだよね。個人の好みに左右されるところだけど俺はツボなんです。

図書館で借りればいいじゃんと思うかもしれない。図書館も好きだよ。でも図書館って返さなきゃいけないでしょ? 俺のものになんないじゃん? 本をさ、所有したいんだよ、俺の場合は。もうビョーキかもしれないけど、これは仕方ない。「読みたい」と一緒に「欲しい」がある。

テレビとかラジオとかYouTubeとかTiktokとか電子書籍とか、さっき並べたコンテンツって、どれも実際の重さやかたちを伴って所有できるものがなんにもないよね? それがダメなんだと思う。所有欲を満たしてくれないんだと思う。むしろ、コンテンツとか情報をモノとして所有することができるのって、本くらいじゃないか? CDとかも所有できるけど、あれは再生機器が必要だよね? 本ってさ、ページをめくる手と文字を読む目があれば、ほかになんにもなしにコンテンツを再生できるじゃん。こんなもん、欲しいに決まってるよね。

読み返さない本は捨てればいいのでは

本を買う理由はなんとなく整理できたけど、一回読んだ本を読み返すことなんてしないのに棚に保管しておく必要はないかもしれない。俺の家の本棚には、そんな本ばっかりだ。売るなり捨てるなりすればいいのに。本棚におさまらないから、机とか床とかにがんがん積まれてる。まだ読んでない本もいっぱいあるから、ごちゃ混ぜになってすげー散らかってる。

部屋がせまくて困ってるんなら、一回読んでもう読み返すことのない本なんて処分すべきだ。そうすりゃ本棚なんてもんもいらないだろう。

でも、もう一回読みたくなったらどうしよう。処分したあとに後悔するよね。電子書籍ならば、データとして残り続けるからいいかもしれない。いやいや電子書籍だったら読み返す気にならんでしょう。棚に差さってないから、並んだ本の背表紙を眺めることなんてできないから、こんな本買ったなーって思い出すチャンスもないし、読み終わったら忘却一直線でしょう。本棚に挿せるから、実物の本はいいんじゃん。俺の世界に存在してるわけじゃん。

つまり、100%読み返す可能性がない本なんて、存在しないわけだ。来るべく読み返す日のために、一縷の望みをかけて、貴重なスペースを割いて本棚に本を置いてあるわけだ。あほらしいけど、俺の場合そういうことかもしれない。

いや、ちがうな。読み返すとかどうとかいう話じゃなくて、読んだという事実を記録しておくために本棚に本を残しておくんだろう。本の内容なんてすぐ忘れるんだわ。そこそこ時間をかけて呼んだわけだから、わずかでも、せめて読んだという事実だけでも覚えておかないと、もったいない気持ちになるんだよ。捨てちゃったら絶対に読んだことなんて忘れるよ。

あと……これはマジでそうそう起こりえないと思うけど、他人に自分の本棚を見せるようなことがこれからの人生であったときに備えておきたいって気持ちも少しある。見栄だよな。理由を並べるときに、最後に挙げるものがそいつにとって最重視するものって言われたりもするけど、もしかすると、俺は見栄のためだけに本棚に本を置いているのかもしれない。馬鹿らしくて恥ずかしいけど、この動機のデカさは馬鹿にできんぜ。人間の本能的な欲求に基づいている気がするわ。

本を置く場所がないのは当たり前

このままだと、部屋が本に埋もれてしまうだろう。部屋のなかにはデスクやベッド、ハンガーラックも洋服箪笥がある。それくらいしかない。本って、ベッドとか服とかと同じくらい必要なもんかな? 生活必需品でもないのに偉そうにスペースをとってさ、ちょっと位が高すぎないか、おかしくないか。

本なんて、限られた生活空間に割って入るほど必要なもんではないだろう。だから置き場所に困るんだろう。ちょっとしっくりきたかもしれん。

本を置く場所がない、なんて悩みは当然のことだ。本なんて、本当は必要ないんだから。所在に困って当然だよ。そんくらいの扱いであるべきなのに、中途半端に俺の中の優先順位の高いところにいるから、居場所をつくってやるかどうか悩むような存在だから、本を置く場所がない、なんて思っちゃうんだよ。

あーー、ちょっとだけすっきりした。でも、部屋はすっきりしない。まぁいいか。これがフィギュアとかプラモデルとかだったら、もう人が住める環境じゃなくなってたからな。

蒐集って、なかなか贅沢な趣味なんだな、とも思った次第でした。

この記事を書いた人

1990年生まれ。サラリーマンの男。神奈川県在住。
思春期のころ、肌や毛のトラブル(?)に悩まされ、振り返ればコンプレックスを抱えた青春を送ってきた。そのせいか自意識過剰になり、さまざまなスキンケアや毛のケアを試してきた。似たような悩みを持つ人たちの助けになれればと思っています。好きなものはメラノCCとユニクロと無印良品。

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