ローファー特集、第5回。筆が進まず、前回の更新から9カ月ほど経ち、今日に至りました。さて、今回紹介するのは「HARROGATE(ハロゲイト)」というブランドの「SHOREDITCH(ショアディッチ)」というローファー。買いました。いろいろ悩んだ末、俺はこのローファーを買ったよ。革の質、サイズ感、シルエット、デザイン、さまざまな要素で及第点を押さえてくる、優秀なローファーだと思います。
第1回 三陽山長「弥伍郎」の記事はこちら
第2回 J. M. WESTON「#180」の記事はこちら
第3回 Paraboot「Adonis」の記事はこちら
第4回 ALDEN「99267」記事はこちら
「HARROGATE(ハロゲイト)」ってどこの国のどんなブランド?
革靴をつくっているメーカー、ブランドといえば、イギリス、アメリカ、イタリア、フランス、日本などの国で興った老舗のイメージが強いが、近年ではインドネシアの「Jalan Sriwijaya(ジャランスリウァヤ)」といった、これまで見られなかった国からの新しいアプローチが注目されている。
そしてその特長は、コストパフォーマンスの高さにある。4万円以下で、革の質も高く、グッドイヤーウェルト製法やそれ以上の付加価値を感じる人もいるハンドソーンウェルテッド製法を採り入れるなど、初めて革靴を買う人の体験を豊かにし、革靴好きの興味もそそるポイントを押さえてくる。
ラインナップは豊富、かつオーセンティックなデザインなので、セレクトショップとしても歓迎しているようだ。変にひねったディテールがあったり、ノーズが妙に長かったり、ソールが分厚かったり薄すぎたりしない、ファッション性のあるトラディショナルさを備えているのも魅力である。
前置きが長くなったが、「HARROGATE(ハロゲイト)」もその流れにあるブランドだと思う。
公式サイトによると“イギリス人と日本人デザイナー・ラストモデリストの 靴の専門知識を有するチームによって生まれたシューズブランド”とのこと。
紹介文だけ読むと、高級なブランドなの?と思うけど、製造をインドの工場で行っているようで、そこでコストを調整しているようだ。HARROGATEの革靴の価格帯は3万5000円~4万円である。何をもって高級とするかは人それぞれだと思うけど、これまで紹介してきた三陽山長、ウェストン、オールデン、パラブーツが8~13万円の価格帯なので、これらを高級ブランドとするのであれば、HARROGATEは高級ブランドではない。ブランド側も品質は高級だが価格は高級ではない、と謳いたいのではないだろうか……? なんかすみません。
ポイントは、イギリス人と日本人がデザインやラストモデリングに関わっている点。「SHOREDITCH」もそうだけど、そのほかの製品名もイギリスの地名からとられたりしていておもしろい。
英国靴というと、ジョンロブやトリッカーズ、エドワードグリーンあたりが思い浮かび、洗練されつつ質実剛健である印象。HARROGATEの靴は、そんな革靴然とした英国靴のデザインをベースとしつつも、日本人が安心するようなポテッとした丸みを帯びている気がする。
で、おもしろいんだけど外羽根のプレーントゥが4型くらいある。たぶん、デザイナーがめっちゃ好きな型なんじゃないかな。4型揃えて気分やTPOに分けて履きこなすのが楽しそう。
コストパフォーマンスを意識しすぎず、作り手の趣味も滲んでいる感じが、個人的に好感を持てるブランドです。
「SHOREDITCH」はどんなローファー?
はい、ローファーを紹介する記事なので「SHOREDITCH(ショアディッチ)」について書きます。
HARROGATEのSHOREDITCHは、ペニーローファーで「OVAL」という前進?のモデルで得たデータをもとに、新開発した一足なのだそう。「トゥ先に高さのあるラストが特徴で、デザインはよりヨーロッパ的にしつつ、フィッティングを高めた」らしいです(参照ページ)。
価格は¥35,200(2024年3月現在)。たしか、1回値上げしなかったっけな? それでも2,000円くらいの差だったと思う。こなれた価格。もしかすると、原材料とか海外の人件費とかの関係で、今後も値段に変化が出るかもしれない。
はい。ブランドの紹介が長くなってしまった。次のページでやっと、HARROGATEのローファー「SHOREDITCH」についてくわしくご紹介します。もしご覧いただけるようでしたら、どうぞお願いします。