弥伍郎はアッパーも上質、フォルムも洒脱、だけど……
三陽山長の靴の革は最近、以前使っていた素材から変わってちょっと質が落ちた?なんて噂もあるけど、たしかにいくつか履かせてもらうと革の質が違うものもあった。だから、お店で実物を見て選んだほうがいいね。しっとりしてキメの細かいものが当たりだと思うんだけど、ちょっとこれは……っていうビニール?ラバー?ぽい質感のものもあった。それもまぁ、ほかと比べれば良質の革の部類に入るんだろうけど、当たりの個体の革質はめっちゃきれいだった。革の質は心配する必要はまったくなし。
で、トゥとかフォルムについて。これも三陽山長のサイトから引用するけど
捨て寸を短く丸みを持たせトゥに、一針一針職人が手作業で縫い上げるハンドモカステッチが特長。
弥伍郎 ブラック:COLLECTION|三陽山長
この「短く丸みを持たせ(た)トゥ」ね(原文は「た」が脱字だな)。これが万人に好まれるローファーのフォルムの条件だと思うんだけど、弥伍郎はばっちり押さえてくる。きれいだけど、いやらしさがまったくない。
コバの張り出しも絶妙で、ちょっとした無骨さをプラスしてる。いっぽうで、ステッチのピッチは小さめで整然としていて、繊細な印象。英国風でもアメトラ風でも、どっちのスタイルにも振れる感じかな?
サドルの切り込み(コイン入れるって言われてるところ。なんて部分名称なのかな?)もしぶい。個人的にはJ. M.Westonのローファーみたいなでっかくてカモメみたいなのより、こういう控え目なほうが好き。
本当に優秀な弥伍郎。
でも、買わなかったんだな……。なぜかと言うと、もう少し粗野な感じが欲しくて、その希望に叶うローファーがほかにあったから。しかもそっちのが安かった……。別の記事でまた紹介できればと思っているけど。でも、弥伍郎はマジで間違いのないペニーローファーだと思う。ドレス、ビジネス、オフィスカジュアル、あたりは完璧に押さえられる。でも、もうちょっとだけカジュアル寄りにしたい希望があった俺は、別のローファーを買っちゃったんだなぁ。
はっきり言っておすすめです。買って損なしです。8万くらいするけど。オールラウンダーなんだけど、俺としては、もう少し個性的なパラメーターを振りたいと思ったわけです。
だから、第1回で紹介する靴としてはピッタリだと思いまして。すべて合格点を出した(エラそうに申し訳ございません)、既製のローファーの見本だということで……許してください。
(追記)
もしかして、今通販で弥伍郎の黒、売り切れてる? サイトではブラウンしか見つけられなかった。