また株式投資で損をした話を書く。ここんとこ日経平均の爆上げで投資家が盛り上がってたよな。俺は、その波に乗れずに指をくわえていたが、思い切って波に乗ろうとしてずっこけた。なので今、けっこうメンタルをやられている。今回は、ヒヨッコ投資家の俺の経験から、損をしたときに被ったダメージを受け止め、昇華して、次のアクションに移れるようになる方法を考えてみようと思う。
株式で損して被ったダメージの内容を文字化してみる
あのとき、あんな株を買わなければよかった。昨日のうちに損切りしておけばよかった。そんな後悔を繰り返して強くなるのが投資家、なのかもしれない。そして、過去と未来について現実的に考える人種が投資家なのかもしれない。
「わたし株やってますよ」と明言するおじさんは「儲かってるんでしょ?」と聞かれると「損をするときは損するよ」と答える。いやにさらっとしている。絶対トータルではけっこうな利益出てるんだろうな、と俺は話を聞いていて思っていた。
しかし今、そこそこの損失を出した俺は、あの「株やってますよ」おじさんの気持ちがわかる気がする。損をするときは損をする……このダメージは俺のメンタルには効きすぎる。ダメージを具体化した内容を以下に羅列させてくれ。ちなみに損失額は15万円。投資家からした屁みたいな金額かもしれないが、けちで貧乏なヒヨッコ現物投資家の俺にとってはけっこうなダメージだ。
- あのときこんな株を買わなければ15万円は消えなかったのに
- 一昨日のうちに損切りしておけば5万円、せめて昨日のうちに切っておけば10万円の損失で済んだのに
- 15万円あれば家賃2カ月分は払えたし、ずっと欲しかったカバンも買えたし……etc
- 15万円稼ぐのにどれだけ働かなきゃいけないのか想像するだけで吐きそう
- 損切りしたあとプラ転してんじゃん。なんで売ったんだよ俺。次の日株価あがったらきっと吐くだろう
とまぁ、こんなところだ。ぜんぶ後悔。このブログの名前は「後悔とミネラル」である。ぴったりのテーマじゃないか。
「後悔先に立たず」という言葉がある。「してしまったことは、あとになって悔やんでも取り返しがつかない」という意味である。故事成語じゃないから由来はわからないらしいけど、かなり昔から存在している言葉らしいから、人間ってずっと前から後悔してメンタルにダメージ受けてたってことがわかるな。
そうだよ、悔やんでも取り返しはつかないんだな。しかしダメージは心に残る。なかったことにするのはよくない。しっかりこのダメージを受け止める。反省する。じゃなきゃ同じ失敗をしてしまうだろう。
うん、書いてみるとそういうことなんだよなってことが改めてわかる。損したんだよな。買ったことがそもそものきっかけなんだけど、それが失敗だとは思えないよな。じゃあ、そのあとの行動で、もう少しダメージを減らせたかもしれないよな。次の章では、思い切り後悔をして「たられば」を検討する。
株式投資で損をしたあとの「たられば後悔」は無駄ではない
「“たられば”の話は無駄なんだよ」
なんて言う人がいる。
でも俺は無駄だとは思わない。なぜならそれは次に生かせる反省材料の具体化であるからだ。もし、次がないような一発勝負の出来事だったら無駄なのかもしれないけれど、株式投資には次がある。俺みたいにちまちま現物でやってるやつならなおさらだ(一世一代の信用取引で大損した人の場合にとっては全く参考にならないと思いますけど……)。
では、今回の15万円の損について「たられば」を洗い出してみよう。
- もう少し値下がりしてから買えばよかった。株の下がり目はわかるけど底を打ったかはなかなかわからない。下落幅は予想しているより大きいことがある。だから、下がってすぐには買わない。
- もう少し早く損切りすればよかった。よほど保有したい、応援したい株でないなら、下がり始めたらすぐに売る。乱高下している株ならなおさら。
- そもそも保有するメリットのない株なら買わないこと。その企業が好きかどうか、利回りがいいかで買う。乱高下している株には手を出さないのが無難。
という具合だ。わかりきったことを書いているように見えるだろうが、こちとらヒヨッコだ。勘弁してほしい。
そう、そもそも乱高下していた株に手を出したんだよね。どのへんの株なのかは、なんとなく察しがつくと思うけど。一日で500円とか800円とか価格が変わる株で、うまく乗っかればがっぽり儲かるってやつ。
でもさ、そういうのも後から振り返ればそうだったってわけで、そこに投資した人はけっこうな覚悟で臨んだと思うんだよね。リスクを冒してきた人たちの勇気への想像力がかけたまま、ボロいと思って投資すると、こういう痛い目に遭うわけよ。ほんと、投資家とか企業へのリスペクトがかけてたわ。
もちろん、俺も勇気を出したよ。ただ、覚悟が足らなかったね。すぐに損切りする判断ができなかったのもそうだし、反転すると甘い考えでいたら、大きな損を被ることになってしまった(まだまだ下がるかもしれないけど……)。
「たられば」をこんなふうに検討すると、自分の行動の何がまずかったかがわかる。そんでこういう経験則は、何度か痛い目をみないと身につかない。いうても俺は、指で数える程度の回数しか損をしていない。しかも、現物取引という安全な取引の範囲でだ。
「株やってますよ」と語る諸先輩方は、幾度となく損をしてきたのだろう。だから「損をするときは損をする」と、しっかり覚えているし、ちゃんと損をしていると語る。恥ずかしいことでもなんでもない。ちゃんと言っておかないといけないことだし、自分のなかでも覚えておかなければいけないことだ。
株式投資で損をしないと得られない学び
まだ傷は痛むけれど、今回の株式投資での損で学べたこともあった。スキル的なものだ。
たとえば「気配値」という指標がある。素人同然の俺は、この指標の見方を知らなかった。今回、株価がどんどん下がっていくなかで
「なんでだ、なんでどんどん下がってるんだ!」
と必死に原因を探すことになった。だって、自分の金がかかってるんだもん。必死になるよ。いろんな情報を探すよ。そのなかで「気配値」というリアルタイムでがんがん変動する数字を見つけた。
この「気配値」を示す表は「板」と呼ばれているようだ。見たことはあったが、それが厳密に何を示しているかは恥ずかしながら知らなかった。そこでは、買い注文と売り注文の状況を見ることができる。そこを見ているとリアルタイムの株価の動きが多少は予測できる。こんなんあったんだ。ってか、そんくらい勉強しろよな、俺も。くわしくは、以下のページをご覧ください。
その「板」の仕組みを知ったとき、損をして気が気じゃない一方で俺は「なにこれおもしれー」という気持ちも湧いていた。だって、寝ながら気配値の板を30分くらい見つめてたんだもん。
ってか「板」の見方も知らないでよく株式やってんなと思われるかもしれない。でも、誰にでも最初はあるってことで。そんで、失敗から学ぶことって多いっていうじゃん。これは経験値だよな。でかい勉強代だけどね、俺にとって15万円は。
株式投資は「命がけの跳躍」だけど命綱をつけて臆病にやる
はい。損をしたときのダメージをやわらげるて活かす方法について考えてみました。
まずは、ダメージの性質や内容を文字化して把握して、その痛みをしっかり受け止めること。一見やわらげていないようだけど、損失を明確にすることで必要以上に悩むことはなくなる。俺はわりと悲観的な性格だからこれは効果的でした。楽観的なタイプの人には……もしかしたら必要ないかもね。
で、ダメージを活かす方法だけど、しっかり受け止めて覚えておくこと。せっかく失敗して損失したんだから、失敗からしか学べないことをもれなくゲットすることが大事だと思う。これは失敗したことのない人には得られないかけがえのないものだから。
こういう経験をして、リスクを冒してこそ「株やってます」「損するときは損しますよ」と言えるようになるんだろうな。何事も、手痛いダメージを受けるからこそ経験になる。
でもね、それは自分の生活の安全が保障されている範囲でやるべきなんだよね。投資は全財産はたいてやるギャンブルじゃないから。だから、証券会社の口座に入れるお金は、多くても自分の資産の4割くらいにしといたほうがいい。そんで、ビギナーは信用買いはせず現物買い。手元にないお金を借りて投資するってのは、本当に危険だよ。損をしたからこそわかる。
つっても、そんなやり方じゃ大きく儲けられないと思うかもしれない。そうだろうけど、人間、そこそこの生活に満足できるようにならなきゃね。じゃあなんで株式投資をやってるかって? そこそこの生活をするにも、物価が上がったりで月収だけじゃいずれ危なくなるって思ってるからだよ。
ちなみにだけど、今のところは生涯収支はプラスでいけてる。マイナスになったら、取り返そうとせずにやめちゃうね、俺は。臆病者だから。臆病なくらいがちょうどいいと思ってる。
こういうのもそれぞれの考え方だからねー。ほかの人がどう考えているか聞くと少し安心する部分があるよ。で、おすすめなのが『ピーター・リンチの株で勝つ』って本。この人の考え方、鵜呑みにはしないけれど共感できる部分が多い。なんでも、ピーター・リンチのことを伝説の投資家なんて言ってる人もいるくらい。
なんかね、臆病さを肯定してくれてるような気がするんだよね、ピーター・リンチの本は。知ってる企業の株を買うこととか、やたらめったら保有しないとか、年単位で保有し続けるとか、ね。
今回の失敗は、よく知らない企業の株に手を出して短期的な利益を見越してしまったことにも原因があるから、反省させられたよ。みたいなね、株式の話についてやさしく対話する相手になってくれる本だから、メンタルのダメージをやわらげてくれるよ。おすすめです。
(ちなみに)株式譲渡による損失額は以降の控除枠になる
おっと、言い忘れてたけど、損をした場合のちょっとした救済策ね。今回損をして、目を皿にして、藁にも縋る気持ちでいろいろと調べたよ。こういうのは怪我の功名……じゃないわ、怪我の功名は、ミスったことが意外に良いことをもたらしてくれるって意味だったわ。なんていえばいいのかな、失敗から学ぶでいいか。変に慣用句を使うのはやめよう。
なんと、株式の譲渡で損をするとその金額が控除枠になるという。
損益通算ってやつをやるのね。そしてなんと
また、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、その年分の翌年以後3年間にわたり、確定申告により、上場株式等に係る譲渡所得等の金額および上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます。
No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除
とのことだ。ちなみに、前年に譲渡益から引かれた税金が今年の損失額で発生する控除枠によって返ってくる、なんてことはない。基本的に、損をした年とそれ以降が対象だ。NISAとか非課税口座の範囲内でしか運用していない人には関係ないけど、NISA以外の口座だったり、NISAの枠を超えた場合とか、この制度を活用するといいね。
だから思い切り投資せよ!ってわけじゃないぜ。お互い、ほどほどにやりましょう。